働き方に関する調査・分析・研究を行うラボ「Alternative Work Lab」所長・石倉秀明による定期記事。
マネジメントの立場からすると、重宝したくなる人材のタイプがあります。メンタルやモチベーションが安定している人です。さまざまな課題があっても一喜一憂せずに仕事をこなしてくれる人には、重要な任務を任せやすいからです。
今回は、そんなメンタルが安定している人たちの共通点について考えます。
「何を任せても大丈夫!」と思われるのは、“波がない人”
日々仕事に取り組んでいると落ち込むこともありますし、逆にやる気が出るような出来事が起こることもあります。
人間なので気持ちが乗らないことやどうしても気が滅入ってしまうことがあるのは仕方がありません。しかし、常に高い成果を残していたり、会社から高く評価されたりしている人の特徴として「メンタルやモチベーションが安定している」「波がない」といったものがあります。
私は2023年まで8年以上、スタートアップの経営をしてきて、今も組織のマネジメントをしています。いわゆる管理職、マネジメントと呼ばれる仕事をしたことがある人であれば分かるかもしれませんが、どんな時にもメンタルやモチベーションがブレない人、安定している人というのは非常に貴重です。
仕事をしていれば、辛い時も楽しい時もありますが、それでも一喜一憂せずに目の前のことに取り組んでくれる人には大事な仕事を任せやすいですし、少々タフかもしれないと思っても重要なポジションの担当者として任命しやすい。結果的に、モチベーションが安定している人は多くのチャンスを掴み、出世したり昇給しやすい傾向もあるのではないでしょうか。
重要な仕事や難易度の高い仕事はストレスが強くかかることも多いです。複数の会社の関係者がいたり、予算の規模が大きかったりします。納期が極端に短い仕事は重圧も大きく、食い違う意見をなんとかまとめて進行するために自分が矢面に立たなければならない場面も出てきます。
非常にストレスフルな仕事だからこそ、メンタルやモチベーションが安定していない人には任せにくいということは想像に難くないでしょう。つまり、メンタルやモチベーションが安定していて、「あの人は何を任せても大丈夫」と思われる人はそれだけで有利なのです。
実は、私自身もよく「安定している」「ブレない」「何を言っても大丈夫なので安心して話せる」などと言われることが少なくありません。多少の喜怒哀楽やモチベーションの上下はありますが、自分でもモチベーションやメンタルがほとんどブレない自覚はあり、安定しているとは思います。また、私の周囲にもそういった特徴を持っている人はいて、その人たちは重要な役職に抜擢されていることが多いです。
では、そういったメンタルやモチベーションが安定している人、少なくとも安定しているように見える人に共通するのは何なのでしょうか。
メンタルがブレない人の3つの共通点
やり切った後は「楽観的」
メンタルやモチベーションが安定している人には、共通点があります。
まず1つ目の共通点は、「楽観的」であることです。
もちろん、最初から全てなんとかなると思っているわけではありません。考えるべきところは考え尽くしているし、できることは先回りしてやったり、細かい点も含めて手を抜かずに計画していたりします。その上で、最後はやってみないと分からないことについては「ま、なんとかなるでしょ」と楽観的です。
ビジネスパーソンであれば、仕事が「うまくいくか、いかないか」が心配で、そこに一喜一憂してしまう人も多いですが、メンタルやモチベーションの安定している人は「うまくいく・いかない」といった結果ではなく、結果を出すためにやることをしっかりやることに集中しています。
やるべきことを全力でしっかりやれていたら、あとは運とまではいかなくとも、最後の結果に関しては楽観的でいられます。
コントロールできることに集中している
2つ目は、1つ目に関連していますが「自分がコントロールできることに集中している」ことです。
例えば、マーケティングの新しい企画を考えたとします。企画を成功させるために丁寧にリサーチをし、戦略を立て、計画を実行するわけですが、メンタルやモチベーションが安定している人というのは、自分がコントロールできることに集中しています。
どんなに練り込まれた素晴らしい企画であってもそれが成功するかどうかは出してみないと分からないことがほとんどです。
つまり、結果に関してはある程度コントロールできないことでもあります。一方、丁寧にリサーチをしたり、計画を立てたり、周囲の人の協力を得られるように事前にコミュニケーションを取ったりなどの行動は、自分で行うものなのでコントロールできます。
メンタルやモチベーションが安定している人は、このように自分がコントロールできる部分の精度を上げること、やるべき行動を全てしっかりやることに集中しているのです。
自分でコントロールできる部分だからこそ、あまり他者の影響は受けず、メンタルもモチベーションも安定しやすい。反対に、メンタルやモチベーションがブレてしまう人は、自分でコントロールできない部分に一喜一憂したり、左右されてしまいます。
「実力」が余裕にもチャレンジにも繋がっている
最後の1つ。これは元も子もないのですが、「確かな実力がある」ケースが多いです。
能力が高く、優秀な人であるからこそ、「最悪、失敗したりうまくいかなくても次がある」と思うことができ、メンタルやモチベーションが安定しているという人は少なくありません。
「今の会社がダメだったとしても、他の会社に行けばいい」「例え年収が多少下がったとしても副業すればいいから大丈夫」などと思っていると自然とメンタルやモチベーションは安定し、仕事も落ち着いてできます。その余裕があることが、目の前の仕事に集中することにも繋がり、大胆なチャレンジができることにも繋がります。元も子もないですが、これも1つの共通点です。
以上が、モチベーションやメンタルが安定している人に見られる3つの共通点です。
もし、大事な仕事を任せてもらえる人になりたいと思うのであれば、まずは自分がコントロールできることに集中し、それを質高く遂行できる力を身につけ、最後は楽観的でいるーーそれこそが、遠回りのように見えて最短のルートなのだろうと思います。
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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。