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次世代版BPO「BPaaS」とは?5つの特徴と活用事例まとめ

2024/07/04 Thursday
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最近、ニュースなどで目にすることが増えた「BPaaS」(ビーパース)という言葉。次世代版BPOとも言われ、BPOとSaaSを掛け合わせた新しいビジネスモデルとして、各業界から注目されています。

本記事では、BPaaSの特徴や、想定される活用ケースについてまとめました。

期待が集まる「BPaaS」の市場規模と背景

BPaaSとは、Business Process as a Serviceの略で、ビジネスプロセスそのものをクラウド経由で外部のプロバイダーにアウトソースすることを指します。個別のアプリやハードウェア、ソフトウェアのアウトソースとは一線を画し、人間の労働力とクラウドやAIなど最新テクノロジーを組み合わせて提供することから、「SaaSとBPOを組み合わせたサービス形態」といわれます。

株式会社SDKIのデータ(※1)によると、2022年には56.68億米ドル(約8,400億円)超だったBPaaSの市場規模が、2023〜35年の間に198.29億米ドル(約2.9兆円)規模に拡大すると想定されています。とくに、アジア太平洋地域が大きな成長を遂げる市場として期待されています。

BPaaSのニーズが高まっている背景には、各業界で人手不足が深刻化していることが挙げられます。アウトソーシングを活用して業務効率化を進め、コア業務に集中しようと工夫する企業が増えているのです。

また、業務のデジタル化やデータ活用が進むなか、システムを運用する難易度やコストが上がっていることも挙げられます。BPaaSを使うことで、最新のテクノロジーやクラウド活用をよりスムーズに導入することにもつながります。

※1出典:SDKI(渋谷データカウント)「サービスとしてのビジネスプロセス(BPAAS)市場調査

BPaaSの5つの特徴。プロフェッショナルに依頼するからこそ生まれる価値

BPaaSの特徴は5つあります。

1つ目は、ノウハウやデータをクラウドに蓄積できること。クラウド上でビジネスプロセスを展開するので、確実にデータを貯めていくことができます。社内でも、場所に縛られず柔軟に連携できるうえ、蓄積されたデータを基に意思決定する“データドリブン経営”も目指せるでしょう。

2つ目は、開発・運用コストを削減できること。大掛かりなシステム開発や、それにかかる多額の先行投資が必要ありません。自社でハードウェアを揃え、人材を育ててシステムの運用・保守を行うと莫大なコストがかかりますが、BPaaSを活用すれば開発・運用コストを抑えることができます。そのため、中小企業やスタートアップでも導入しやすいです。

3つ目は、業務効率化を実現できること。BPaaSを通して業務を切り出し任せることで、マネージャーはマネジメントに、メンバーはコア業務に専念できるようになります。プロバイダーが持っている専門知識やノウハウをフル活用できるので、最適なフローを構築してもらうこともできます。

4つ目は、セキュリティやコンプライアンスのリスクが減ること。クラウドを使うとセキュリティリスクが高まると考え、機密情報の扱いを控える企業はいまだにあります。しかし、プロバイダーは高度な専門性を持つプロフェッショナルです。慣れない自社で対策・運用に取り組むよりも、BPaaSを導入した方がむしろ堅牢なシステムを構築できるうえ、安定した運用が見込め、リスクが減ると考えられます。

5つ目は、導入から運用開始までのスピーディーさ。プロバイダーは、BPaaSの導入・運用に関して豊富な経験とノウハウを持ち、それに裏打ちされた最適な方法、いわゆる「ベストプラクティス」を知っています。標準化された手法を採用することで、自前で試行錯誤しながら導入するよりも、スピーディーに運用開始まで進めることができます。

2024年問題対策にも!業種別の活用ケース3パターン

BPaaSはどんな企業でも導入できますが、とくに向いている企業は、例えば以下のような企業です。

  • 人材不足に悩んでおり、業務効率化を目指している企業
  • デジタル人材の不足に悩みながらも、育成にコストをかけられない企業
  • システムの構築や導入、運用、保守に多額のコストをかけられない中小・中堅企業、スタートアップ
  • 専門性の高い情報、機密性の高い情報を日常的に扱う業界

では、実際にBPaaSを導入した場合、どう活用できるでしょうか。

業界を問わず、採用業務や経理業務はアウトソースのイメージがつきやすいですが、今回は、「2024年問題」で話題となっている「建設、物流、医療」の3業種を取り上げて、想定されるBPaaSの活用方法をまとめました。

2024年問題についての詳細はこちらをご覧ください。
いまさら聞けない「2024年問題」。業界別の背景・課題・解決策とは?

この3業種は、2024年4月から時間外労働の上限規制がかかっており、売上の減少や人手不足の深刻化、それに伴うサービスレベルの低下などが懸念されています。BPaaSで効率化を図れば、こうした課題の解消に役立ちそうです。

物流クライシスを救う一手に

「物流クライシス」といわれるほど、深刻な状況にある物流業界。荷物の取扱量が急増している一方で、トラックドライバーの高齢化もあり、人手不足が懸念されています。

例えば、在庫管理や受発注の管理、配送計画の策定・実行などにおいてBPaaSを活用することが考えられます。多数ある輸送ルートの中から有力な選択肢を提案するのはAIの得意分野であり、プロバイダーにはその中から最適なものを選定するノウハウがあります。

アナログで行われていた作業を自動化できるほか、日々リアルタイムで変化する道路事情にも対応したロジスティクス計画を組めるようになるでしょう。

医療DXが進むなか、1つの選択肢に

現在、厚生労働省が旗振り役となって進めている「医療DX」。より質の高い医療を実現するため、電子カルテやオンライン診療などさまざまな施策が行われています。一方で、看護職員は業務の負荷や待遇の低さから、離職率が高いことが問題に。人手不足に拍車がかかっています。

例えば、BPaaSを使って、診療記録や病院で使われているマニュアルなどの書類をデジタル化し、さらに運用をブラッシュアップすることが考えられます。また、患者に関する大量のデータをBPaaSで構築すれば、紙よりもはるかに効率よく管理し、集めたデータから知見を生み出すことができます。

医療現場は扱うデータの量が多く、プライバシー保護の観点から機密性が高いのが特徴。なかには、特別な資格が必要なアウトソースできない業務もありますが、一部を切り出すだけでもメリットが大きそうです。

人手不足と高齢化、コスト増に苦しむ建設業界の選択肢に

帝国データバンクによると、建設業は正社員の人手不足割合が69.2%と高く、業種別比較では「情報サービス」に次ぐ第2位です(※2)。また国土交通省によると、就業者の35.9%が55歳以上と高齢化が激しく(※3、2022年時点)、若手の確保が喫緊の課題となっています。資材の高騰などの外部要因もあり、抜本的な改革が求められている業界です。

例えば、BPaaSを使うことで施工計画の立案や、工事前の検査や必要項目の確認などをスムーズかつ的確に行うことが考えられます。ノウハウをクラウドに置くことで、属人化を避け、次世代の働き手を育成することにもつながります。

建設現場での確実性を重視し、デジタルよりも紙を使う文化が色濃いのも業界全体の特徴です。それでも今後は、人が行う仕事とAIやICTを使う作業を明確に分け、効率化を進める必要があるでしょう。

※2出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)
※3出典:国土交通省「建設業を巡る現状と課題

全国で使われているキャスターのサービスもBPaaS

このように、利便性の高さや導入のしやすさから期待が高まっているBPaaS。『Alternative Work』を運用するキャスターのサービスも、BPaaSの1つです。

例えば、日常業務から専門業務までを幅広く依頼できるリモートアシスタントサービスの「CASTER BIZ assistant」や、採用に特化した「CASTER BIZ recruiting」、経理に特化した「CASTER BIZ accounting」、マーケティング分野をサポートする「CASTER BIZ sales marketing」などがあり、累計4,500社以上が活用しています。

気になるサービスがありましたら、まずはお問い合わせください。
https://caster.co.jp/service/

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さくら もえMOE SAKURA

出版社の広告ディレクターとして働きながら、パラレルキャリアとしてWeb媒体の編集・記事のライティングを手掛ける。主なテーマは「働き方、キャリア、ライフスタイル、ジェンダー」。趣味はJリーグ観戦と美術館めぐり。仙台の街と人、「男はつらいよ」シリーズが大好き。ずんだもちときりたんぽをこよなく愛する。