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リスキリングして本当に転職できる?それを阻んでいる課題

2023/06/21 Wednesday
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ここ数年、「リスキリング」は政府が掲げる中心的な政策の一つです。その中で、先日このようなニュースが出てきました。

参照記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/3dd5f77c6b313cfe7ce6d8956d62f98f1261f031

学び直す、つまり新しいスキルを手に入れることで別の業界に転職しようという人を応援する制度自体はいいことだと思います。

もちろん、課題はあります。例えば、今回民間の講座が対象となっているが、海外留学やアカデミアの世界に行く、それ以外にも国家資格を取るなど、もっとあらゆる分野での支援があってもいいはずです。

また民間に限ったときに、この支援対象のサービスが助成金分価格を値上げするなどの事象も起きるかもしれません。

ただ、このように学び直しによってキャリアアップをしていくための最大の課題は、企業側にあると思います。

日本の転職市場においては、実務経験がかなり重視され、いくらスキルがあっても実務経験がないとそれは未経験とみなされます。

欧米だとリスキリングしたり、大学院に通ったりすると、それをキャリアとみなし、次の転職ではキャリアアップすることもあります。一方、日本では例えば経理をしていた人がプログラミングを学んだとしても、プログラミングを学んだ経理の人と判断されるだけだったりします。

つまり実務をしていないものは、キャリアとして認められないし、学び直したり新しいスキルを手に入れるインセンティブが非常に少ないのが現状です。

また年齢による線引きもまだまだ強いです。若ければそれでもポテンシャルで採用されることもありますが、年齢を重ねるとそれすら認められない傾向が強く存在するのも、残念ですが事実です。

本来、年齢を重ね、経験を重ねた人こそ、新たなスキルを身につけて、新しいキャリアを重ねてもらうことを目的とした政策のはずですが、こういった現状がある限りなかなかうまくいかないと思う人も多いのではないでしょうか。

政府はもちろんですが、我々民間の会社も含め、この実務経験偏重ともいえる日本企業の考え方、そして会社での経験だけをキャリアと捉える狭い価値観をどう変えるか、という本質的な問題に取り組まないと解決しないのだと思います。

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※この記事は、2023年6月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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