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古い慣習を変えたいときに価値観を変えるのは悪手!?

2023/06/28 Wednesday
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今週、Z世代の残業時間に関する意識調査が出ていたのですが、今回はその中でも「古いと思う価値観」について書きたいと思います。

参照記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000170.000075257.html

個人的には「一緒に飲むからこそ本音で話せる」という価値観は古いと思っています。私自身、飲み会は好きです。しかし、これは「飲まなくても、仕事中のコミュニケーションをどのようにして充実させ、お互いに本音で話せるようになるか」を考えないといけないのに、それをサボっている人の言うことに感じます。

調査の中で「Z世代は意味のない前例踏襲は避ける」という言葉がありますが、別にZ世代関わらずそういう人は存在します。

例えば、上司がまだいるので先に帰りにくいという感覚を持ったことがある人は少なくないと思います。でも、なぜそういう価値観や風習は古いと思っている人がたくさんいるのに残っているかが問題の本質です。

問題を解決するポイントは、仕事の仕方に関するハードなOSとソフトなOSの考え方ではないかと思います。

ハードなOSというのは「人事制度や社内の仕組み」のことで、ソフトなOSというのは「個人の価値観や組織に残る風習」などのことなのですが、これは組織改革を行おうとした時の鉄則です。ソフトなOSはそう簡単に変わらないと考え、ハードなOSにフォーカスすべきと言われています。

仕組みやシステムを変えることで行動が変わり、結果としてだんだん価値観も変わっていく。そして、順番に新しい価値観が生まれてくるということです。

例えば、上司より先に帰りにくいという暗黙のルールがあるのだとしたら「そんなことないから帰っていいよ」というのはソフトなOSに対しての対策ですが、これはあまり意味がないでしょう。

それよりも「上司にあたる管理職の残業を禁止する」という制度にしてしまえば、上司は誰よりも早く帰ることになるので、こういった問題がなくなります。

つまりシステムや制度、仕組みをどう組み合わせれば人の行動が変わるのか、そして、その結果として今回のような価値観をなくせるのかを考えるべきということです。

どうしても価値観に注目してしまいがちですが、それよりも行動を変えること。
行動が変われば、問題は解消しますし、結果としてこの古いと思われている価値観もなくなっていきます。

そして、こういった仕組みや制度のもとになる考え方や理論はすでに有名なものがありますし、うまく使っている事例もたくさんあります。

だからこそ人事や経営者、管理職こそがそういったことを自ら学び、システムや制度を設計する能力が求められていると言えのではないかと思います。

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※この記事は、2023年6月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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