2023年、さまざまな議論を巻き起こしたインボイス(適格請求書)制度。経理の業務量が増え、各社の経理部門がひっ迫しているというニュースも目にします。
新制度の施行により、経理の現場ではどのような課題に直面しているのか──あらゆる企業の経理実務を代行する「 CASTER BIZ accounting 」に、現状と解決策を聞きました。

小さな会社の経理部の「新規立ち上げ」から大企業の「既存業務のアウトソーシング」まで、累計200社を超える企業の経理業務を請け負うクラウド経理サービス。日常の仕訳はもちろん、経理コンサルまで幅広く対応しています。
確認時間が2倍に!インボイス制度による経理部門への影響
ーーインボイス制度がスタートしてから数ヶ月が経ちました。「インボイス残業」という言葉が話題にもなったように、経理部門の負担が増えていると聞きます。実際、経理の現場はどのような状況なのでしょうか?
世間で言われているように、経理部門の負担が増えているのは事実です。
経費精算1つにしても、確認に必要な工数が大幅に増えました。たとえば、受け取った請求書がインボイス登録事業者からの適格請求書なのか、適格請求書の要件をきちんと満たしているのか。1つひとつを確認して進めなければならないので、フローを再構築するところから始めなければなりません。
「 CASTER BIZ accounting 」ではそれぞれの作業にかかった時間を記録しているのですが、経費精算1件あたりにかかる時間は、インボイス制度導入前と比べると平均2倍ほどに増えたというデータが出ています。1分半だったものが3分、4分だったものが8分…。さまざまなツールを駆使している当社でさえ2倍に増えているので、ツールなしに人の手だけで作業している会社ではさらに業務時間が増えていると思われます。
ーー1つひとつは数分でも、積み重なるときっと膨大な時間になりますよね。
そうですね。会社によっては月に数千単位の経費精算を処理することも珍しくないので、結果的には大きな業務増になります。
また、インボイス制度を機に新しくクラウドツールなどを導入した会社も多いかと思います。そのような会社では、ツールをリサーチ・選定するところから導入、オペレーションや体制の構築など付随した業務が増えるため、さらなる負担増に繋がっているとも考えられます。
経理アウトソースの受注スピードが2倍増。
ーー自社ではいよいよ回らなくなって、経理部門を外部にアウトソースするという会社も増えそうに思います。
たしかに、インボイス制度がアウトソースの後押しになっているケースもあると思います。インボイス制度だけが理由ではありませんが、実際に2023年は当社での経理のアウトソースの受注スピードは前年比で2倍近くに増えています。
そもそも、経理という業種においては人材不足が以前からの大きな課題でした。経理の仕事に尽きたいという人が年々減っている現状があります。
たとえば、簿記3級の統一試験の実受験者数は2002年6月には77,664人いたのに対し、2023年6月には26,757人まで減少しています。2級になるとさらに顕著で、2002年6月には46,842人だったのに対し、2023年6月には8,454人しか実受験者がいないという結果が出ています。
ーーそんなにも減っているのですね。実際の合格者はもっと減りますし、合格者全員が経理の仕事に就くとも限らないので、人手不足は免れませんね。
そうなんです。新しく仕事に就く人が減っているうえ、税理士の平均年齢は60歳以上と言われていて、高齢化が進んでいます。人手不足は深刻な問題ですね。
そこへ、電子帳簿保存法、インボイス制度などの税制改正が重なり、「いよいよアウトソースしようか」と検討する企業は多いのかなと思います。
経理部門をアウトソースするメリットとは
ーー人手不足、業務増などが経理部門のアウトソースの背景にあるんですね。経理部門をアウトソースすることのメリットとしてどんなことが言えるでしょうか。
一番のメリットは、プロが常に最新・最適な方法で業務を遂行する点だと思います。
最近では、経理業務を効率化するツールもさまざま開発されています。当社でも「freee」「マネーフォワード」「バクラク」をはじめとする複数のツールを活用していますが、このようなツールは常に新しくリリースされたり、機能がアップデートされたりします。日常的な業務に加えて、各社の経理部門が常に最新の情報を追っていくのは大変なことです。
だからこそ、「 CASTER BIZ accounting 」のように複数社から経理業務を請け負ってノウハウや知見が蓄積されているアウトソースサービスに依頼をすることは、非常に有効だと思います。最新のツール、最適な方法で業務を進めることができるので、結果的に業務の最適化を期待できます。
ーー変化のスピードが早い時代ですからね。アウトソースにより、変化についていくことができ、かつ専門知識のあるプロに頼れるということですね。
はい。AIの台頭によりさまざまな業務の自動化が進むなか、経理は「将来なくなる仕事」と揶揄される場面も見かけます。そういった背景も、仕事に就く人が減っている理由の1つでしょう。ただ、現時点では経理業務のすべてを自動化するのはまだ難しく、最終的には人の手と経験が必要となります。本当に正しいかどうかの確認や判断は人の手で行わなければならず、そこには専門知識や経験が必要です。
しかし、先ほどお話した人材不足・高齢化により、自社でプロを雇い続けることが困難になりつつあります。
他にも、経理は月末月初が特に忙しいなど、月のなかでも業務ボリュームに偏りが生じる業種です。業務量が毎日一定でないため、直接雇用よりもアウトソースに頼る方が業務ボリュームの変化に対応しやすいというのもメリットですね。
今回のインボイス制度は1つのきっかけにすぎませんが、経理部門の見直しの良いタイミングです。足元の税制改正に対応することだけではなく、今後も企業として成長をしていくために、持続可能な経理体制を考えていくことが重要だと思います。
▼「
CASTER BIZ accounting インボイス支援プラン」の詳細はこちら
https://caster.co.jp/101766

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