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無駄な会議を減らし、会議を使って事業を推進する – 後編 –

2022/08/02 Tuesday
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前編では、無駄な会議の減らし方について書きました。前編はこちら
後編では、せっかく行われる会議を有効に活用する方法について書いていきます。

会議を有効な場にできるかどうかの肝は、「集団で考えることで、意思決定の質が上がるか」です。それは、優れた意思決定をする集団とはどのような集団なのかを理解することでもあります。

この肝を理解するのに「コンドルセ陪審定理」があります。
これは集団は個人より正しい判断をする確率が高いという、集合知の威力を示す定理として有名なものです。定理の詳細はここでは省略しますが、興味がある方はぜひ調べてみてください。

そして、この定理が成立するには2つの条件があると言われています。

1つ目は、大前提として目的を共有していることです。
会議にたとえると、その場にいる全員が出席している会議の目的や、何の問題を議論しているかを把握していることが大前提になります。つまり、何のための会議なのか、何を決めたいのか、会議のゴールは何か、などが決まっておらず冒頭で共有されていない会議は有効な会議になり得ないということです。

2つ目は、他者の意見に追従したり、空気に流されてはいけないということです。
会議の参加者たちは自分の意見と異なる上司の意見に賛同したり、多数の意見に流されてはいけないということです。このような状態を「独立性」と言いますが、独立性を保つのは容易ではないからこそ強く意識をすることが重要です。

この2つの条件のうち、どちらか一方でも満たされないと多数決はこのメリットを発揮しません。つまり、これが「会議を有効な場にする」前提条件になります。

現実の仕事の場面で考えてみるとどういったことができるでしょうか。
1つ目の条件をクリアするには以下のようなことが有効になりそうです。

  • 会議の目的や会議のゴールなどを明確にする
  • 上記の前提を会議の冒頭や事前に準備した資料で明記しておく

2つ目に関しては以下のようなことができるでしょう。

  • (全員が自分の意見を持てるように)同じ情報を全員で共有している
  • 事前に考えておいてほしい部分を知らせておく
  • 事前に全員の意見を集めておく
  • アジェンダに関係ない人を呼ばない
  • 会議では役職関係なく、全員が同じ課題に向き合う

以上のようなことが考えられます。

出てきた対策を見てみると、突拍子もないような対策はありません。
会議の基本と言われるようなことばかりが並んでおり、それを忠実に行うことこそが集合知の威力を発揮させ、会議の質を高めることに繋がるのだということでしょう。

最後に、どんな議題に対して会議を設定すると有効活用できるのかについてです。
それは「重要だけど緊急性がない課題」に取り組むときです。

重要だけど緊急性が低い仕事は、どうしてもなかなか手をつけることができません。だからこそ「会議」を上手に使うことで仕事を進めることは有効です。

具体的には、定例会議を週1回程度行うことで、その会議のなかでTodoやタスクが決まるので強制的に次の会議までにやらなければいけません。それを繰り返していくうちに、緊急ではないが重要な仕事が放置されずに進捗していくことになります。

会議で決まったから手をつけないといけない、次の会議という締め切りがあることをうまく活用して事業を進める手段として、ぜひ一度トライしてみて欲しいTipsです。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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