interview インタビュー

「商品を愛せる候補者と出会える」。リモートワークのCS活用メリット

2024/04/23 Tuesday
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リモートワークの積極的な活用に舵を切る企業がいる一方で、世間では「会社としてのメリットがわからない」「サボりの原因になるのでは」という声もたびたび聞かれます。

そんななか、実店舗を展開しながら有形商材を扱う株式会社TENTIALのCS部では積極的にリモートワークを取り入れています。リモートワークを推進する理由やメリットについて、部長の谷合北斗さんにお話をうかがいました。

株式会社TENTIAL
リカバリーウェアをはじめ、身体を充電するツールを展開するコンディショニングブランド「TENTIAL」を運営。

在宅派遣

フルリモート専門の人材派遣サービス。働く場所を制限しないことで、いま必要な人材を、全国からフルリモートで採用できます。

コンディショニングを日常へ。CS部ではリモートワークを活用

ーーまずは、改めて事業について教えてください。

谷合さん:当社は、2018年の設立以来、コンディショニングブランド「TENTIAL」を展開してきました。いちばんの売れ筋は、リカバリーウェア「BAKUNE」(疲労回復パジャマ、上下セット税込24,200円、2024年4月時点)です。血行を促進し、疲労回復することで健康的な毎日を支える機能性パジャマとなっています。一般的なパジャマに比べると高価ですが、機能性に対してエビデンスを取得し、一般医療機器の製品となっています。おかげさまで「BAKUNE」シリーズのリカバリーウェア累計販売数は2024年3月に50万枚を超えており、ご支持いただけていると考えています。

他にも、24時間コンディショニングを整えるアイテムを多数販売しています。またECサイトだけではなく、直営店も9店舗展開しております。

ーー会社としては、現在は出社orリモートワークなど、どのような働き方を取り入れていますか?

谷合さん:全社的にリモートワークとオフィス出社を選べる「フレックスワークロケーション」という働き方を取り入れています。もちろん、部署によっては出社が必要なタイミングもありますが、結果的には当社のほとんどのメンバーが何かしらの形でリモートワークをしていますね。

私が部長を務めるCS(カスタマーサポート)部では、ほとんどリモートワークです。13名のうち9名が本社所在地ではない都道府県に住んでいるということもあり、集まれたとしても、年に2回の期初キックオフだけです。

リモートワークだからこそ「自社のファンになってくれる人材」に出会える

ーー有形の商材を扱う企業では、オフィス出社を選択する会社も多いように思いますが、谷合さんがリモートワークに感じているメリットはどんな点ですか?

谷合さん:たしかに、同業のなかでもリモートワークを取り入れている会社は少ないかもしれませんね。

リモートワークのいちばんのメリットは「当社の商品を心から好きで、かつ一緒に働きたいと思ってくれる仲間に出会える」ことです。CS部では、採用においてミッション・ビジョン・バリューに共感してもらえること、そして当社の商品に愛を持ってもらえることを重視しています。そういったバックボーンがある方が仕事をすることで初めて、本質的なお客さまの満足度が生まれると考えているからです。CSを社外にアウトソーシングせずに完全に内製化しているのも、そのためです。

ただ、人手不足の今の時代、たとえばオフィスへ1時間で通える距離内に限定して当社にマッチする人に頻繁に出会えるかというと、現実的ではありません。

そんななか、リモートワークを導入するだけで居住地の制限をなくし、対象地域を日本全国、場合によっては海外まで広げられるのは、大きなメリットだと感じます。

とはいえ、自社だけで全国各地から優秀な人材を探すのは相当なリソースが必要です。だからこそ、キャスターの「在宅派遣」サービスには大変お世話になっていますね。現在は、「在宅派遣」サービスから2名派遣を依頼し、宮城県と沖縄県から働いてもらっています。

先ほどお伝えしたように、当社のCS部では、非対面の接客スキルに加え、理念への共感や商品を好きになってもらえるかということを重視しています。キャスターの「在宅派遣」では、事前に担当者と入念に擦り合わせができるので、働き方や志向性に大きなズレのない少数精鋭の候補者を紹介してもらえるのがありがたいです。その結果、入社後に当社のカルチャーに馴染みやすいと感じています。また、リモートワークの基本的な考え方や働き方を理解した人を紹介してもらえるので、安心して依頼できています。

リモートワークの課題は「テキストコミュニケーション」に表面化

ーー逆に、リモートワークに課題を感じることはありますか?

谷合さん:リモートだからというよりは、万人に共通するテキストコミュニケーションによる課題のように思います。

リモートワークではチャットを使うことが多いと思いますが、そのようなテキストでのやりとりだと重く受け止めすぎてしまうケースがあります。

たとえば、ミスを見つけた時に、パブリックなチャンネルで指摘すると相手が必要以上に重く感じてしまう、などがそうですね。毎日オフィスに出社していた頃を思えば、仕事のことなのでオープンな場所で話していいはずなんですが、それがテキストコミュニケーションになった途端に感じ方が変わってしまうんですね。

当社のメンバーは相手のことを考えて発言する思いやりのある人が多いので、キツい表現で摩擦が生まれるようなことは少ないと感じていますが、逆に言葉を選びすぎているケースは見かけます。チャットで文章を堅くしすぎるとコミュニケーションのハードルが上がってしまうので、上司やマネージャーのような相手にもラフにチャットしやすくする雰囲気づくりが大切だと感じます。

CS部の対策としては、Slack上に仕事以外のことを書く雑談チャンネルをつくって、カジュアルな投稿がしやすい場を設けています。ペットの猫の写真がアップされていたり、私は普段チャットで誤字が多いんですが、「谷合さんの今日の誤字」みたいな投稿もあったりします(笑)。だんだんとテキストでゆるい会話をする文化も生まれつつありますね。

また、デジタルオフィスサービス「Gather」も活用しています。あくまでもコミュニケーションのメインはSlackですが、「Gather」では、オフィスのように気軽に話しかけられる環境づくりの役割を持たせています。

「リモートワーク=サボる」論。要因は、正しく目標設定できていないから

ーーいまだに、世間では「リモートワークはサボる」論も展開されていますが、これについて谷合さんはどう感じていらっしゃいますか?

谷合さん:そうですね。私も、「リモートワーク主体で働いているんですよ」と話すと「楽な仕事だね」と言われることがいまだにありますね。

ただ、「リモートワーク=サボる」「リモートワーク=楽」はリモートワークが原因なのではなく、「目標設定」をうまくできていない会社が多いから起こる議論だと感じます。出社かリモートワークかに限らず、目標を緩く設定すればサボれる状況は出てきますし、厳しくしすぎると残業が増えてしまいます。そのバランスがすごく大事で、いかに目標を定量的(客観的)な内容にできるかが論点ではないでしょうか。

リモートワークになると物理的に働いている姿は見えなくなるので、これまでのオフィスのように「あの人、頑張っているな」という姿は当然見えないですし、定性的な評価は削られていきます。それを踏まえて、より数字や客観性のある目標設定や評価の仕組みづくりをすることが重要だと感じます。これはリモートワークに限らないと個人的に考えています。
また、評価に限らず、教育方針や権限譲渡の考え方にも同じことが言えます。

たとえば、一般的にカスタマーサポートと聞くと、物理的なコールセンターにオペレーターが待機していて、回答できない質問がきたらオペレーターがサインを出してマネージャーを呼んで確認する、というような働き方をイメージする方が多いかもしれません。ただ、当社はリモートワークで成り立つCSなので、オペレーターが手を上げて、そこへマネージャーが回っていくことは不可能です。

さらに、BAKUNEだけを見ても「パジャマ」としては高価な商品を扱っているので、お客さまからの質問に都度確認をしていては、お客さま満足度は上がらないと考えています。だからこそ、必要な権限を渡した上で、基本的にはお客さまに向き合っている方が自分自身で判断して自走できる状態を目指して教育しています。

ーーリモートワークがきっかけで課題が表面化し、それがあたかもリモートワークが原因のように見えてしまっている、ということでしょうか。

谷合さん:そうだと考えています。リモートワークの経験者が増えたことで、リモートワークの本質や認識の解像度はだんだんと上がっているとは思います。ただ、未経験の方をはじめ、まだまだリモートワークを単なるオフィスワークの延長と捉えられてしまい、「新しい働き方」だという想像ができていない人が多いのではないでしょうか。

同じ「リモートワーク導入会社」でも、コロナ禍で仕方なく消極的にリモートワークを始めた会社と、意図的にリモートワークを選択している会社ではもたらされる結果は異なると感じます。

「リモートワークでは生産性が落ちる」、「リモートワークではイノベーションが起こらない」という話が出ることがありますが、前者の会社ではある意味当然の結果です。

両者を混ぜてリモートワークを議論するのではなく、それぞれの会社が目的と意図をもって働き方を選択していくことが大事ではないでしょうか。

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さくら もえMOE SAKURA

出版社の広告ディレクターとして働きながら、パラレルキャリアとしてWeb媒体の編集・記事のライティングを手掛ける。主なテーマは「働き方、キャリア、ライフスタイル、ジェンダー」。趣味はJリーグ観戦と美術館めぐり。仙台の街と人、「男はつらいよ」シリーズが大好き。ずんだもちときりたんぽをこよなく愛する。

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