interview インタビュー

サポーターズに聞く、「多様性」と「チーム力」が共存するマインド設定

2023/07/25 Tuesday
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働き方が多様化し、同じ会社の中でも異なる契約・時間・場所で働くメンバーがいることが当たり前になりつつある昨今。働き手にとっては喜ばしい環境でありながらも、どのように組織・チームをまとめればよいかと悩む経営者・マネジメント層もいるのではないでしょうか。

今回は、『Alternative Work』を運営する株式会社キャスターのサービス「在宅派遣」や「Reworker」を利用し、さまざまな契約形態のメンバーとともに事業拡大を続ける株式会社サポーターズの取締役・田中宏征さんに、多様性とチーム力を共存させるためのポイントをうかがいました。

株式会社サポーターズ
エンジニア職に特化したキャリア支援・就活支援を中心とする事業を展開。

取締役 田中宏征さん

在宅派遣

フルリモート専門の人材派遣サービス。働く場所を制限しないことで、いま必要な人材を、全国からフルリモートで採用できます。

Reworker

リモートワーク特化型の求人メディア、人材エージェントサービス。正社員から派遣社員、パート・アルバイト、業務委託、副業人材まで幅広い求人を募集することが可能です。

組織と事業に根づく「カッコイイかどうか」というマインド

ーーサポーターズで働く人には、いろいろな契約形態の方がいらっしゃるそうですね。

田中:そうですね。正社員が20人、派遣社員が18人、業務委託が15人、アルバイトが5人、インターンが5人ほどいます。ただ、狙ってそうしたわけではなく、より良い組織を作っていくことを目指すなかで、結果的にいろんな契約形態の人が所属する組織になった、というのが正直なところです。

もちろん、契約上や法律上の違いはあれど、それは事務的な要素に留まります。契約形態こそ異なりますが、チームを組んで一緒に働くうえでは、どのメンバーも対等な関係です。

ーーそれぞれの人数を聞いて、特定の契約に偏りが少ないことにも驚きました。対等というお考えからも、日々の仕事で契約の違いを感じることは少なそうですね。
とはいえ、さまざまな働き方が共存する環境であることは事実です。1つの組織としてまとめるポイントはどこにありますか?

田中:やはり、マインドがすごく大事ですね。サポーターズの場合、ビジョンにも掲げている「カッコイイオトナを増やす」という考え方です。サポーターズの事業はすべて「カッコイイかどうか」を軸に展開しています。ダサいことはせず、人間としてカッコイイ生き方ができる大人でありたい──事業だけでなく、この考えを社内で共有できている土台が強みだと思います。

カッコイイの基準はいろいろありますが、「当事者意識」を持っている人はカッコイイですよね。肩書き・年齢・年次に関わらず、すべてのメンバーにそうであってほしいですし、意見は率直に言ってほしいと思っています。たとえば、部署の方向性についてディスカッションするときも、「私はアルバイトだから…」などと考えずにどんどん意見を出して深く関与する人ほどカッコイイ。逆に、肩書きや契約形態にこだわる人や、メンバーを萎縮させてしまう組織はカッコ悪いですね。

メンバーや組織にそうあってほしいからこそ、経営者自身も損得勘定ではなく、カッコイイ生き方をすること、そういう生きざまを見せることが求められます。“出る杭”を伸ばしていける組織でありたいですね。

ーーなるほど。「カッコイイ」のように、何か組織の中に基準となるキーワードがあると個々の判断もしやすそうですね。そして、全員が当事者意識を持つことができれば、組織は自然とまとまりますよね。

田中:はい。そして、それこそがサポーターズが事業を拡大し続けられている理由かなと思います。本気でサポーターズのことを考える脳みその数が多ければ多いほど、組織も事業も伸ばしていけます。

相手を最大限にリスペクトしながら、目線を合わせて、奢らずまっとうに向き合う──そんな当たり前のことが、カッコイイにつながるのだと思います。

ーー最初から、そういう考え方の人を採用しているんでしょうか?

田中:そうですね。新卒でも中途でも、組織に対して積極的に関わってくれる人と一緒に働きたいので、サポーターズの考え方は採用時にしっかりと伝えます。

ただ、サポーターズが一方的に伝えたり判断するのではなく、自分が本当にサポーターズに合うかどうかを自分自身で判断してほしいですし、無理に取り繕わないでほしいと思っています。サポーターズの面接を受けてくれる人とも、対等な関係でありたいんです。

言語化によって見える、「不要な制約」と「本当に必要なもの」

ーー「カッコイイ」というマインドの他に、組織・チームを作るときに意識されていることはありますか?

田中:「どうしたらチームの力の総量が大きくなるか」を重視しています。チームメイキングの基準は、メンバーの相性、スキルレベル、どれだけ大きなシナジーを生めるかの主に3点です。

そのため、契約形態を理由に役割を任せることは絶対にしません。実際に、業務委託のメンバーに新卒正社員のメンターを任せることもあります。

ーー契約形態に依存しないやり方は、言い方を変えると、実力主義とも言えますよね。

田中:そうですね。ただ、もし実力が足りなくても「この仕事を通して、この人は大きく成長できるだろう」と判断したら、任せることもあります。

そういう判断をするには、日頃からメンバー1人ひとりにスポットライトを当てて考える必要があって、これを僕は「成長の脚本を書く」と呼んでいます。

書いた脚本は、本人に伝える場合と伝えない場合があります。余白を持っておいて、本人にはあとからタネ明かしすることも。いろいろなやり方で、チームの力の最大化を図っています。

いずれにしても、「チームの力の最大化」という目的を明確にしているからこそ、会社の1つひとつの選択や判断にメンバーも納得感をもって取り組めているんじゃないかと思います。

ーー結果的に今のような多様性の高い組織になったとのことですが、組織にさまざまな契約形態の方がいるメリットはどんなところにありますか?

田中:一番のメリットは、無駄な制約を外すことで、本当に優秀な人材を採用できることです。

たとえば、採用を正社員だけに絞って就業時間が固定されてしまったら、「フルタイムで働くのは難しいけど、一日数時間なら働ける」という人は全員候補から外れてしまいます。でも、さまざまな契約形態を許容していれば、働く時間も場所もある意味「なんでもOK」の状態になりますよね。それによって、結果的に候補者の数が増え、優秀な人と出会える可能性も高まります。本当に必要なスキルセットだけを抽出できていれば、その他の制約は実は必要ないんですよね。

それに、そもそもこれだけ働き方が多様化している時代に「1つの働き方しか受け付けない」「うちの仕事1本に絞ってほしい」という考え方自体、横暴じゃないでしょうか。むしろ、最初は副業として関わっていた人が「もっとサポーターズで働きたい!」と思うようになるくらいの組織でありたいですね。

ーー制約がなくなるということは、可能性が広がるということですもんね。ただ、なかなかそこに踏み切れない企業も多いです。

田中:採用する側が思考停止してしまっていると、制約を取っ払うのは難しくなると思います。組織に必要なスキルやマインドが曖昧なままで言語化できていないと、「なんとなく、うまく汲み取ってくれる人」というような基準で採用してしまいます。

制約を取り払う以前に、まずは必要な要素を整理して、相手にどんな役割を期待するかを具体的にすることが重要です。それさえできていれば、働く時間や場所は必ずしも一律じゃなくてもよくなるはずです。

自分の人生の「主役」を張れているか?

ーー田中さんご自身も、昔からこういう考え方で働かれてきたんですか?

田中:そうですね、近い考え方だったとは思います。僕は、サポーターズがまだ5人くらいの会社だった頃に入社して以来、ずっと「自責マインド」で働いてきました。どんな時も全部「自分のせい」

たとえば、先輩が数字を上げているなかで自分が結果を出せていなければ自分に原因があると考えるし、もしメンバーが不正をしてしまったとしたら、そういう環境を作ってしまった自分に原因があると考えます。

意外と、自分でコントロールできないことってそれほど多くないんです。身の回りで起きたことはすべて、自分が蒔いた種から出た結果。だから、人のせいにして生きるよりも、自分なりの「カッコよさ」を貫いたほうがいい

他責で生きると簡単で楽かもしれませんが、自責マインドの方が最終的には自分の器が大きくなっていくと思います。

ーー仕事論に留まらず、人生論でもありますね。メンバーの方には、会社のマインドをどのように伝えていますか?

田中:時々、「自分の人生の主役を張れているか?」と問いかけるようにしています。

仕事でも人生でも、周りと比較して、他人との差分を拠り所に生きている人が多いですよね。でも、それってすごくチープだと思うんです。

とはいえ、何か奇をてらったことをやる必要もありません。結局は、自分がいいと思うように生きればいいんです。

僕は自分なりの「カッコイイ」を体現して納得のいく人生を送りたいですし、メンバーにもそうあってほしいと思っています。

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さくら もえMOE SAKURA

出版社の広告ディレクターとして働きながら、パラレルキャリアとしてWeb媒体の編集・記事のライティングを手掛ける。主なテーマは「働き方、キャリア、ライフスタイル、ジェンダー」。趣味はJリーグ観戦と美術館めぐり。仙台の街と人、「男はつらいよ」シリーズが大好き。ずんだもちときりたんぽをこよなく愛する。