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2023年で最も注目される働き方のテーマ「賃上げ」はどうやったらできるのか?

2023/01/25 Wednesday
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今年も春闘が実質的に始まりましたが、最大の関心事でありテーマは「賃上げ」です。

参照記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/40c6b22e4020483e69a62715086d34cf9d7d83b3

1年前に比べ物価が4%上がっていますが、むしろ物価が上がったこと自体は悪いことでなく、それに合わせて賃金が上がってないことが問題です。

春闘による経団連と労組の交渉で、さらなる賃上げは実現するかもしれません。でも、これは一部の大企業の話です。

日本で99.7%を占め、働いてる人の約70%をしめる中小企業の賃上げをどうやったらできるか? こそ、徹底的に考えるべきポイントです。

政府としては、最低賃金を毎年物価以上に引き上げ続けること。そして、全国差をなくし続けるように動くことが仕事です。また、増税をしないことで、経営者が安心して事業に専念できるようにするのも必要です。

ただし、「賃上げは全て政府の責任で、政府がなんとかするものである」という誤解を招くコミュニケーションをやめることも大事だと考えます。賃金というのは、企業ごとに生産性をあげていき、その分を給与に還元する努力を個々人でやっていくべき、という部分をもう一度見直す必要もあると思うのです。

賃金を毎年4%あげると考えると大変に聞こえますが、いきなり大きな改革をするのではなく、実はコツコツやるべきことをやり続けるしかありません。

例えば毎月1%の生産性が改善が1年続くと、1年で12%以上改善されることになります。1年で4%改善は、要するに、四半期ごとに1%ずつ生産性が改善されれば可能です。

そう考えると、実は目の前の小さな非効率を全員が改善することこそ、生産性向上のイノベーションと言えます。

中小企業と呼ばれる会社の従業員の平均は約9〜10人です。その人数で働いてる会社がほとんどだからこそ、大規模な投資をせずとも、FAXをやめてクラウドツールを使う、飲食店なら予約はネットのみにする、キャッシュレスにする、など身近な改善の重要性を、いま一度多くの経営者が自覚することが大切です。

賃上げの実現には4半期に1%の改善でいいということ。そして、それをやるためのコストや投資分は減税するなど、中小企業向けの措置を設け、地に足つけて官民一体でやるべきではないかと思います。

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※この記事は、2023年1月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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