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Zoomでさえオフィス回帰……リモートワークはどうなるのか

2023/11/01 Wednesday
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コロナ禍で一気に知名度が上がったサービスといえば、Zoomもその一つだと思います。今やオンライン会議で、Zoomを使ったことのない人の方が少ないかもしれません。

そのZoomが、従業員に出社回帰をしているとのことで話題になりました。

参照記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/9e7e326718d5934cb2224965ada7b27d7ccaaed4

これは夏ごろに発表された計画ですが、10月になっても変わらず、従業員に週2日の出社を求めているようです。このままリモートワークは終わり、オフィスに回帰する流れが決定的なように見えますが、果たして現状はどうなのでしょうか。

実は、出社回帰の流れはあるものの、それを推進している企業幹部ですら、出社回帰を推し進めてもうまくいかないだろう、と思っていることも明らかになっています。

これはアトランタ連邦準備銀行とシカゴ大学、スタンフォード大学が共同で実施している「事業不確実性調査」で500社以上の幹部が、「いまから5年後の2028年、あなたの会社のフルタイム従業員の勤務形態(完全出社、ハイブリッド、完全リモート)の割合はどのようになると思いますか」という質問に対し、ハイブリッドと完全リモートの両方の割合が今後も増加し続けると予想しています。

事業不確実性調査:https://www.atlantafed.org/research/surveys/business-uncertainty

その理由として、15年以上リモートワークを研究してきたこの領域の第一人者であるスタンフォード大学のニックブルーム教授は以下のようなことを言っています。

1、テクノロジーの進化によってリモートワークのコストは下がり続ける
2、リモートワークに対して優れたマネジメント手法が開発される可能性
3、従業員はリモートワーク勤務を望んでいること

この3つが大きく、そして不可逆です。

特に3つ目は、従業員にとってリモートワークできることは、8%分の昇給と同じ価値を持つこと。また離職率を最大35%下げること、などが経済学の研究で明らかになってきています。

またリモートワークにすると最大10%生産性は下がるが、離職率や従業員満足度、またオフィス家賃などのコスト減を見込むとマイナス分を上回りメリットの方が大きいという試算も出ています。このように、1つの企業の動きから「やはりオフィスだ」と反応するのではなく、トータルでのコストやメリットなど、最新の研究からわかっていることなどを知り、戦略に活かしていくことが重要なのだろうと思います。

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※この記事は、2023年11月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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