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オフィス回帰は進むのか!? Meta社がニューヨークに新オフィスを構える理由

2022/11/22 Tuesday
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ウィズコロナが当たり前となり、少しずつコロナ前に戻る動きが随所に出てきています。
その中でも、「リモートワークからオフィスへ回帰するのか」という話題は常に出てくるものです。

イーロンマスクがCEOに就任したTwitterでは、オフィス出社必須の号令が出ていますが、
アメリカでもニューヨーク市は市をあげてオフィスへの回帰を目指しています。果たしてMeta社を始め、大手IT企業はオフィスへ回帰していくのでしょうか。

参照記事:市長「オフィスに戻るのは楽しいこと」 ニューヨークに誕生した“絶景”巨大ビルにIT大手「メタ」入居へ
https://www.fnn.jp/articles/-/433862

ただ、現在もニューヨーク近郊で働く人は、コロナ前の半数未満しかオフィスに戻っていません。つまりそれだけ「リモートワークで仕事は十分にできる」と感じている人が多いということでもあります。

また急激なインフレで家賃も上がっており、経営者からしてもオフィスに大きく投資する意思決定をするかは悩ましいところだと思われます。

リモートワークの生産性についての論文や先行研究を調べてみても、オフィスの時とリモートワークの時で生産性が上がったという研究もあれば、下がったという研究もあり、実のところ明らかにまだされていません。しかも、創造的な仕事やイノベーションを起こすようなアイディア創出においても、リモートの方が良いという研究もあれば、集まった方がいいという研究もあり、なんとも言えないのが現状です。

Meta社など多くのグローバルIT企業は、社内に経済学者や統計学者などを雇用し、いろいろな学術的な知見も用いて意思決定しているのは有名な話です。なので、先に述べたようなことを知らないはずはなく、またIT企業の従業員にとってリモートワークできることは当たり前になっている中、採用競争力を考えれば多くをオフィスに戻すような決定はしにくいのではないでしょうか。

そうすると「シリコンバレーにオフィス拡張するより、まだ家賃の高騰がマシなニューヨークにオフィスを構えることにした」という、経済合理性、つまりコストでの判断ではないか。

これは逆にリモートワークする人が増えたからこそできたとも言えます。今までであればシリコンバレー内で拡張するしかなかったけれど、従業員がいろいろな場所で働きやすくなったからこそ、都市をまたいで拠点を作れるようになったということでもあります。

アメリカの一都市からすると、大きな企業を呼び込む新たなチャンスが生まれているとも言えます。
アメリカの場合、州によって法律も違うので税率などを引き下げることで、大手企業の拠点を積極的に誘致する都市がどんどん現れてくるのではないでしょうか。

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※この記事は、2022年11月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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