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少しの心身の不調を「我慢する」のは正しいのか

2023/10/18 Wednesday
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先日、ツムラさんから男女の更年期に関する実態調査が出ていました。

参照記事:https://kyodonewsprwire.jp/release/202310131019

今回の調査で「隠れ我慢」をしている人がかなりの数いる可能性がわかりましたが、健康経営の文脈でも「健康による損失」をどうなくすかが重要であると言われています。

代表的なキーワードとして「生産性損失」という言葉があります。これは心身の不調によって失なわれている労働生産性のことで、日本だけで見ても5-6千億〜1兆円以上とも言われており、そのうち40-60%はプレゼンティズムが要因と言われています。

プレゼンティズムは心身の不調がありながら我慢して働いている状態、まさに今回の隠れ我慢の状態を指します。つまり、それだけ症状を我慢して働いている人が世界的に見ても多く、問題になっているということです。

今回の調査は更年期に関してですが、これ以外にも何とか働いてはいるが、心身の不調がある、という人の数を考えたら相当数いるはずです。

それは、障害からくるものかもしれませんし、女性の生理などのように性別特有のものかもしれない。ただその種類に限らず、「心身が万全でない状態の人が相当数いる」ということを理解した職場マネジメントが求められる、ということは間違いありません。

その中で会社ができることを考えると、やはり「休みやすくする」ということに尽きるのではないかと思います。そして、そのためには職場の雰囲気と制度、どちらも必要です。

例えば、有給は半日単位で取得、もしくは1日単位で取得する会社が多いですが、これを30分単位でも取得できるようにする、またその取得は当日でもできるようにするというような制度設計により、症状が辛い時間だけ休んで、少し回復したらまた仕事をする、などのようなやり方は可能かもしれません。

また当日、急に休んだり少し抜けたりすると周囲が困る、周囲に迷惑をかけるという雰囲気や考え方も変えていかないといけません。確かに周囲の人のサポートは必要ですが、少し体調が悪かったり心身の不調は誰にでも起こること。それはお互い様だよね、と思える雰囲気をどう作るかです。

その一歩として、経営者や管理職などの立場の人でも、心身の調子が良くない時は積極的に休んだり、働き方を調整したりすることを率先してやるのも重要ではないでしょうか。

会社に制度を導入しても、経営者や上司がそれを使わなければ、使いやすい雰囲気にはなりにくいと思います。だからこそ、経営者や管理職の人は自分を例外に置くのではなく、自分も調子が悪い時は休む、という行動をしていくのは大事だと思います。

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※この記事は、2023年10月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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