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OpenAI騒動から見える、新しい時代のガバナンスとは

2023/11/22 Wednesday
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先日、OpenAI社のサム・アルトマン氏の解任劇が突然起こりました。情報はまだ錯綜していますが、解任を主導した取締役陣の思惑が完全に外れているということは間違いありません。

昨日には約9割の社員がサム・アルトマン氏の復帰、現取締役陣の退任が実現しなければ、全員が退職すると勧告しています。

参照記事:https://www.fnn.jp/articles/-/618452

取締役会は会社の最高意思決定機関ですし、規定に従って物事を決めていくので、ガバナンスが最も効いていないといけないわけですが、今回の退任に関しては、株主も直前に聞かされていることを考えると、取締役会のガバナンスが全く効いていないように見えます。

しかし、いくら法律上の決定機関が取締役会だとしても、社員の心情や立場を大事にしなかったり、コミュニケーションをおろそかにしたら全く人はついてきません。特に、サム・アルトマン氏が打ち出していたミッションやAIの未来に共感を示していた従業員たちからすると、ついていく理由がないということだと思います。

しかもOpenAIの従業員のように、市場において希少な人たちであればあるほど、代わりがいないので「嫌なら辞めろ」と強行姿勢をとるわけにはいきません。つまり社員を無視して会社の決定をすることは即、崩壊に繋がってしまいます。

もちろんMicrosoftで全員が雇用される保障があるからこそ、強気の交渉ができる、という背景はあると思いますが、やはりイノベーションを起こせるような人材の場合、あきらかに会社より社員の方が交渉力が強い存在になっています。

つまり社員の心情やコミュニケーションをどれだけ大事にできているかということも、これからの時代はガバナンスの要素として重要になっているとも言えます。また会社のガバナンスを考えた時、社員のパワーが強くなりすぎる危険性にも対処しなければならない、という難しさの現れとも言えるのではないでしょうか。

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※この記事は、2023年11月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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