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正規と非正規にある「もう1つの格差」解消なるか

2022/11/02 Wednesday
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厚生労働省がパートら短時間労働者が「厚生年金に入れる要件」を緩和する検討に入る、と明らかにしました。

参照記事:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA26AL90W2A021C2000000/

現在、週30時間以上働く人全員に加え、従業員101名以上の事業者の場合は20時間以上働く人に対しても厚生年金の加入義務があります。(正確には、週20時間以上働き、月収が8.8万円(年収換算で106万円)以上で、学生でないといった条件があります)

この適用範囲を広げ、従業員数の要件撤廃、つまり従業員数に限らず一定時間以上働く人に対しては、厚生年金の加入を必須にすることも検討しているようです。

働く人からすると、この決定により「毎月の手取りが減る」と感じて反対する人も少なくないでしょう。

また経営者からしても、保険料の支払いが増えることになり、経営上の負担になることが予想され、諸手を挙げて賛成の人は少ないかもしれません。

物価が上がり生活が苦しい人も増えている中、なぜ政府はこの政策を検討しているのでしょうか。

その背景には「正規」と「非正規」の間にあるもう1つの格差解消があります。

正規と非正規の間には賃金の差があったり、産休や育休の取得条件など制度の差があることは知られています。ただ、それ以外の「もう1つの格差」についてはあまり知られてきませんでした。

その格差とは「将来の年金格差」です。

厚生年金に入れず、国民保険のみの場合、もらえる年金額は満額で78万1000円/年(20歳から40年間納めた場合) となります。しかし厚生年金に加入していると国民年金からの支給に加え、標準月額報酬×18.3% が支給されます。

厚生労働省が出している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金のみ加入していた人の年金支給額は平均で月額56,000円に対して、厚生年金に加入していた人の平均は月額145,000円です。

つまり2倍以上、支給される年金額に差がつくことになるのです。

厚生労働省の「労働力調査」 によると、非正規と呼ばれる雇用形態で働いている人のうち、約70%はパート・アルバイトなどの短時間労働者で、約1522万人です。そのうち約1000万人は現在の制度だと厚生年金の加入義務がなく、国民年金だけといった状況です。

もちろん、同一労働同一賃金の導入や、最低賃金の引き上げ、扶養控除額の見直し・撤廃など他にも多くの議論があります。ですが「今」の格差と同時に「将来」の格差をなくそうというのが今回の政府の狙いとしてあるのだと思います。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

約1500名がフルリモートワークする株式会社キャスター取締役CRO(Chief Remotework Officer)。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABAMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。妻と6歳の娘と犬と猫と暮らしている。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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