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ヤマトHDが共同配送の新会社設立。企業の垣根を超えた取り組みは成功するのか

2024/05/22 Wednesday
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2024年問題といわれる物流業界のドライバー不足解消のため、ヤマトホールディングスが新会社を設立。複数の運送会社が、共同配送を行えるようなプラットフォーム事業を開始します。

参照記事:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00817/

物流業界は2024年問題に対し、さまざまな対策を各企業出していますが、一企業でできる範囲を超えてしまっているという課題もあります。そこで、今回のように、企業の垣根を超えた取り組みが必要なのは間違いありません。

今回の取り組みは、企業から見てもユーザーから見てもメリットがわかりやすいものです。

物流企業からすると、自社で配達員が不足している時は他社の配達員に運んでもらうことで、顧客からクレームはなくなります。逆に、日によって、もしくは時間帯で配達員の空き状況は異なりますが、もし空いてる時間帯がある時には、追加で他社経由の配送を行うことができれば、稼働率の無駄をなくすことができます。

ユーザーからすると、誰が・どの会社が運んでくるかよりも、早く・指定通りに届くかの方が重要です。そういう意味では、最も希望を叶えてくれる配送業者が運んでくれることは、大きなメリットがあります。

しかし、今回の取り組みには、課題も2つあります。

1つは、先ほどいったメリットを最大限に享受するには、ほとんどの会社がこのプラットフォームに参加しないと意味がないということです。ある会社は参加するが、別の会社は参加しないとなると、結局のところ配送を最適化できません。

もう1つは、根本的な「配達員の確保のしにくさ」は改善されてないことです。今、転職を念頭に置いている人も増えていますが、それは、人が集まりやすい業界に人が流れていきやすいということです。つまり、配送業のように採用が難しい業界は、いかに人を確保するかを考えないといけません。

いずれも、個社ごとの利益や利害にこだわっている場合ではなくなっています。これまで、ライバルとして競ってきた各社が、個社の事情を超え、業界全体でこの事態を乗り越える必要があります。また、この改革を業界の中から引っ張っていくリーダーが現れるか、も重要なのではないかと思います。

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※この記事は、2024年5月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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