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先日、育児・介護休業法が改正されました。
参照記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240524/k10014459441000.html
これまで子どもが3歳になるまでが中心だった措置を拡充することがメインで、具体的には、残業の免除対象を3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親にも広げること。また、3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親を対象に、短時間勤務制度や始業時間の変更、テレワーク、時間単位で取得できる休暇の付与など、複数の制度の中から2つ以上を設けることを義務付けることになります。
また介護に関しては、家族の介護が必要となった従業員に介護休業などの制度を周知し、取得の意向を確認すること。さらに、介護に直面していない従業員にも早めに制度を周知することなどを義務づけるとしています。
しかし、育児と介護を同じ枠組みで考えていいのか、企業としてどのような対策が必要なのかが十分に検討されているわけではないように思います。
なぜなら、子育てと介護は「期間」が違うからです。
子育ての場合、もちろん個人差はありますがケアする期間は一定決まっています。ですが、介護の場合はいつ終わるかわかりません。また子育てと異なる点として、どんどん介護の負担が時間の経過とともに増えていく傾向にあります。
つまり、介護する必要がある人を持つ従業員に対して、支援をし続けること、さらにその支援を厚くし続けていかないと成立しない構図です。
しかし、企業でできること、企業ではできないので政治で解決することなど、問題の切り分けと、そのために「誰」が「何」をすべきかについて十分な議論がされていないのではないかと感じます。
子育てに比べると、どうしても介護休業に関しての話題は少ないですし、注目もされにくい印象です。ですが、今後確実に、長く多くの人が対処すべき課題だからこそ、「育児とセットで考える」ことから脱する必要があるのではないかと思います。
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※この記事は、2024年5月時点の情報をもとに執筆しております。
石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。