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先日、令和のマネジメント像についてのアンケート結果が公表されました。
参照記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000244.000031819.html
最近では「管理職は罰ゲーム」と言われることも増え、なりたがらない人も多いと言われていますが、まさにその傾向を示す調査結果だと思います。
一方で、調査にもあるように管理職の重要性は経営学や経済学の研究でも明らかになっています。特に上司が優秀であるかどうかは、部下の将来の収入やチームの生産性、離職率などに大きく影響すると言われており、非常に重要です。
例えば上司が会社から上位10%の評価を受けている優秀な人だった場合、部下の7年後の収入は30%増え、しかも優秀な上司はチームの生産性を50-60%程度上げるという研究結果もあります。
この要因として、優秀な上司ほど部下の適性を見極め、能力に見合った仕事に適切に配置する能力が高いこと、また会議や日々のコミュニケーションを通して、部下やチームを動機付けしたり、知識やノウハウをうまく伝達するからであると言われています。
まさに今回の調査であったように、メンバーとのコミュニケーションを重視して、部下を動機付けするヒューマンマネジメントのスキル、そして業務で成果を出せるようにサポートできる業務マネジメントのスキルの両方が必要とされているということです。
それだけ管理職、上司は重要なのにも関わらず、日本はマネジメントのスキルを体系的に教えたり、トレーニングを受けさせる機会はほぼありません。だからこそ部下としては優秀な上司に当たるかそうではないかが運次第になってしまっています。これを克服する方法としては主に2つです。
1つは、管理職にならないと給与が上がらないような今の給与制度、人事制度自体を見直し、管理職に向いている人はその道に、そうではない人はプレイヤーのままでも給与が上がっていく仕組みに変えていくことです。
もう1つは、管理職が専門的スキルであると認識し、専門的なトレーニングに投資をしていくことです。トレーニングの結果として、部下を最適な仕事に配置できるようになったり、離職率が減ったり、チーム全体の生産性が上がるのであればかなり費用対効果の良い投資になります。
仕事は背中を見て覚える、マネジメントも見よう見まねでやり経験しながら覚えていく、という日本型の育成から、専門的スキルはしっかりトレーニングをして身につけるという育成方針へチェンジできるかが鍵だと思います。
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※この記事は、2025年2月時点の情報をもとに執筆しております。

石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。
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