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配慮すべきか、求めすぎか…イオンシネマの問題にみる日本の課題

2024/03/27 Wednesday
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3月に入り、イオンシネマが行った車椅子ユーザーに対しての対応と発言がX上で炎上し、今でも議論を呼んでいます。

参照記事:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_65f52479e4b0b4d0b899745f

何が起きたのかに興味がある人は詳細を追ってもらえればと思いますし、ここではどちらが悪いかや騒動についての意見は一旦置いておきます。

あえて一歩引いて、今回の騒動から見える日本の課題について考えていきます。

この騒動は、車椅子ユーザーの方に対し、シネマスタッフの方が今までしていたサービスを、今回は行わなかった、そしてその時のスタッフの発言が不適切だったというのが発端です。

その時のスタッフの言葉の中に「人手が足らないので」という背景があったようですが、この言葉がまさに日本の課題を表していると思います。

つまり、人手不足がどんどん深刻化することで、今まで受けられていたサービスが受けられなくなる、今まで当たり前と思っていたことが当たり前でなくなる日がもうすぐ来る、ということです。

ご存知のように日本、その中でもサービス業の人手不足は深刻です。そして人口が減る中でこの人手不足が今後、簡単に解決していく可能性は低いです。

そうなると、どのお店、会社でも人手が足らないのでサービスを絞ることになりますし、今まで提供していたサービスをやめる、簡略化するなどは当たり前になってきます。そうしないとお店が回らないからです。

日本は世界的にみても品質の高いサービスを安い価格で提供することが当たり前のようになっていますが、この「品質の高いサービス」を維持するのは非常に難しくなるということです。

そうなると、私たちがお客さんとしてお店を訪れた時も今までやってくれたことをやってくれない、今までよりもサービスが悪くなった、、と感じることが増えてくるでしょう。これは全員が直面します。

今回の騒動は、「今までやってくれてたことをやってくれない」という事態に対して、スタッフの不適切な発言が追加され、炎上騒ぎになりましたが「今までやってくれてたことをやってくれない」という事態はこれからどんどん増えるので不満だけが溜まる社会になってしまうかもしれません。

私たち自身が提供されるサービス範囲が狭くなること、限定されること、今までよりもできないことが増えるということを理解していく必要がありそうです。

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※この記事は、2024年3月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。

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