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先日このようなニュースが出ていました。
記事参照元:https://www.fnn.jp/articles/-/881173
一応、経団連の指針では昨日から採用面接解禁ですが、約80%がすでに内定を持っているということのは形骸化してる証拠です。6/1の時点で80%が内定があるということは、少なくとも大学3年生や修士1年生の夏あたりから就活は始まってるということでもあります。
私自身も、いま大学院に通っていますが、学生の動きをみていてもかなり早期化しているのは間違いない印象を受けます。特に修士の学生だと4月に入学して、夏休みから就活となるとほぼ研究はスタートしてない段階で就活になるので、専門性を高める前に就職先を決めるという矛盾が起きているとも感じます。
このまま早期化がどんどん進むと、学業に専念するよりも大学生活=就活、のような構図になってしまうわけですが、これは誰の得になるのでしょうか。
誰の得にもならない気はしますが、唯一あるとしたら学業を頑張っている学生ではなく、就活に向けて早くから動いていた層、そのためにインターンなどを戦略的にやっていた学生層だけでしょう。
つまり企業としては、学業を頑張って優秀な成績を収めた学生よりも、就職のために就活を頑張った学生を優遇して採用することになるわけです。
これは本当に企業が望んでいることなのか?というと、疑問は残ります。
これを解決するために、形骸化してるルールをきちんと守るようなアップデートはやはり必要でしょう。その中でも、就活を「自分に合う会社や希望する会社を見つける」ことと「選考を受ける」をわけるべきだと思います。
例えば、下記などはあり得るでしょう。
・説明会や企業主体のインターンなどは通年で実施、何年生でも参加できる
・しかし、面接は4年生や修士2年の夏以降でないと受けられない
・企業は、説明会やインターンのときに取得した個人情報は破棄、裏で選考を進められないようにする
・もしくは、選考フェーズでない場合は個人情報を取得させない
尚且つルール違反した場合は、以後の新卒採用が数年間できないなど強いペナルティとセットである必要もあります。
本当に学生が学業専念し、その先に就職先を決めてもらうことが重要であれば、このような仕組みを民間任せにせず、文科省と経産省がタッグを組んで法令にするなど徹底してもいいのではないかと思います。
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※この記事は、2025年6月時点の情報をもとに執筆しております。

石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。
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